コンテンツマーケティングとは、潜在顧客を主なターゲットとし、彼らが求める情報をコンテンツとして提供することで、ユーザーが自ら購入という意思決定を下せるようにするマーケティング手法です。
ブログやオンラインメディア、ECサイトを運営している方であれば、「どうやって収益を最大化させようか」と日々考えられていることかと思いますが、コンテンツマーケティングは、そうした悩みを解決できるマーケティング手法の一つだと思います。
なぜならコンテンツマーケティングは、ユーザーに自社商品の魅力を感じてもらうことで最終的に購入につなげるため、ユーザーに自社商品のファンになってもらえることも多く、「収益を最大化させる」という考えに適った手法と言えるからです。
本記事は、いま最も注目されているマーケティング手法の一つであるコンテンツマーケティングについて、どなたでもすぐに理解することができるような記事となっています。
今回はコンテンツマーケティングを簡単に学べることを中心にしていますが、別記事で実践編も詳しくまとめますので、ご興味のある方はぜひそちらもご一読ください。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、『潜在顧客が抱える疑問や関心事に対して有益な情報(コンテンツ)を提供することで、徐々に潜在顧客の購買意欲を高め、その結果として自社商品やサービスを選んで貰える可能性が高まる』といった一連の流れを作るマーケティング手法です。
もう少し噛み砕くと、ユーザーに一方的に自分たちの主張を訴えかけるのではなく、ユーザーが求めるものを提供するということといえます。
この手法において重要な点は、
・既にニーズが顕在化している『今すぐの購入見込み客』ではなく、将来的に自社商品を買う可能性のある『潜在顧客』にアプローチをすること
・販売者側が伝えたいことではなく、『ユーザーが求めるものがなにか』を徹底的に考え抜くこと
こちらの2点です。
なぜなら、今すぐの購入見込み客はそもそも数が限られているため、狙ってアプローチすることが難しいからです。
また、既に多くの企業が「今すぐ客」の獲得に向けて莫大な予算をかけて動いていることもあり、最終的に購入に至ってもらうには極めて熾烈な競争を勝ち抜かなければなりません。
コンテンツマーケティングの根本的な考え方そのものは、特別に新しいという訳ではないと感じられたかもしれません。
ですが、日々膨大な情報を目にし、それらを取捨選択するユーザーにとって、自分が求める情報を発信し続けてくれるというのは、想像以上に魅力的です。
このようなことから、コンテンツマーケティングの考え方は、今や競合他社に打ち勝つための競争戦略そのものであると捉えることもできます。
コンテンツマーケティングが重要視されている背景
コンテンツマーケティングが重要視されている背景について、先程は販売者側の視点から考えましたが、次はユーザー視点で見てみましょう。
ユーザーの立場になってみると、次の2つが大きな影響を及ぼしていると考えられます。
検索行為の習慣化
コンテンツマーケティングが重要視されている背景の1つ目は “検索行為の習慣化” です。
例えば、「マーケティングに関する本が欲しい」と思った際には、Amazonで書評が良いものがどれなのかを調べたりして、最も良さそうだと思う書籍を購入しますよね。
書籍のみならず、何かしらの商品やサービスを購入するときには、必ずと言っていいほど『検索行為』を挟むと思います。
インターネットやスマホ等が普及する以前であれば、親・友人が勧めたもの、TVで見たもの、雑誌で見たものといったような限られた情報ソースから、自分に合ったものを選んでいましたが、検索という行為が習慣化したことで、より自分自身に合ったものを選ぶことができるようになりました。
現在ではユーザーは、心から欲しいと思う商品や情報を求めて検索をするので、販売者側がいくら売りたいと思っても、ユーザーの意向に合わなければ選んでもらえないという状況が生まれています。
ユーザーの広告疲れ
コンテンツマーケティングが重要視されている背景の2つ目は “ユーザーの広告疲れ” です。
多くの企業は何とか自分たちの商品を売ろうと、Web広告等を活用したプロモーションに力を入れています。
しかし、実際に日常生活の中でWeb広告が表示された際には、かなりの数の方がスキップボタンを押したり、無視しているのではないでしょうか。
Web広告のみならず、TVCMやスマホアプリの通知等、興味関心の無い情報にうんざりしているというのは、この記事をご覧頂いている方も感じることがあると思います。
では、ユーザーはこれ以上の情報は求めていないのかと言えば、決してそんなことはありません。
Similar webというサイトで上位WEBサイトランキングを調べると、1位google.com、2位youtube.com、3位facebook.com、4位twitter.com、5位instagram.comということからGoogle検索は日常的に最も使われていることがわかります。
これらのことより、ユーザーは、自身にとって興味のないコンテンツを一方的に発信してくることに対しては辟易としながらも、ユーザー自身の抱える疑問や関心ごとに対して、適切な回答をしてくれるコンテンツは常に探し求めていると言えます。
こうした状況の中で収益を維持するためには、ユーザーが求めるものに対応する形でコンテンツを発信することは欠かせない手段となってきているため、多くの企業がコンテンツマーケティングを導入し始めているものと考えられます。
コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの違い
コンテンツマーケティングとよく混同されがちなマーケティング手法に、コンテンツSEOというものがあります。
コンテンツSEOとは、場面ごとにユーザーが求める情報が何かを考え、検索で上位を狙っていくマーケティング手法です。
どちらも『ユーザーが求めるものを提供する』という考え方は同じなのですが、両者には明確な違いがあります。
それは、『ユーザーが、コンテンツと接触した後のことまで考えているかどうか』です。
以下の図をご覧頂くと、より分かりやすいかと思います。
コンテンツSEOは、ユーザーをキーワードごとに想定して彼らがその時々で求める情報をコンテンツとして提供します。
一方で、コンテンツマーケティングは、それに加えて自社コンテンツと接触したユーザーが自発的に購入へ近づいていくためのコンテンツも同時に提供していきます。
つまりコンテンツマーケティングでは、コンテンツSEOとは異なり、コンテンツに触れた際にユーザーがどんな心境になるのか、次にユーザーの頭に浮かびそうな疑問は何かを常に先回りして考えることが大切なのです。
コンテンツマーケティングの実践により得られるメリット
コンテンツマーケティングの実践に際しては、徹底したユーザー目線での思考が欠かせず、非常に手の掛かるマーケティング手法ですが、得られるメリットも非常に強力なものです。
コンテンツは資産になる
コンテンツマーケティングの実践により得られるメリットの1つ目は、作成したコンテンツが強力な資産になることです。
例えば、広告は随時掲載コストがかかり、表示される期限も決まっていますが、コンテンツは一度制作してしまえば、半永久的に集客機能としての役割を果たします。
また、ユーザーファーストの良質なコンテンツが蓄積したメディアというのは、それだけでとてつもない資産価値を有します。
ブランディング、ファン化につながる
コンテンツマーケティングの実践により得られるメリットの2つ目は、自社メディアのブランディングとファン化につながることです。
こちら側が伝えたいことではなく、ユーザーが『欲しい』と思う情報を提供しているので、ユーザーから「このメディアは、ユーザー視点を第一にしており、非常に好感が持てる」という評価をしてもらいやすくなります。
適切なPDCA管理ができる
コンテンツマーケティングの実践により得られるメリットの3つ目は、各コンテンツに対して適切なPDCA管理ができることです。
潜在顧客がどんなユーザーなのか、彼らが抱える疑問や関心事がどんなものであるのかを徹底的に考え抜いた上でコンテンツを提供するので、どの仮説が当たったのか、もしくは外れたのかというのを後から振り返ることができ、次の改善策を考える際の下地とすることができます。
コンテンツマーケティングのよくある失敗例
このように、多くの企業が注目しているコンテンツマーケティングですが、導入していく際には、いくつか注意が必要です。
特に陥りやすい2つの失敗例を紹介します。
ユーザーが価値を感じるコンテンツになっていない
コンテンツマーケティングのよくある失敗例の1つ目は “ユーザーが価値を感じるコンテンツになっていない” ことです。
ユーザーにとって本当に有益だと感じてもらえるコンテンツを作成するにあたって、ポイントとなってくるのは『徹底的にユーザー視点で考え抜くこと』です。
この考え抜くという行為が中途半端だと、時間をかけて作成したにも関わらず、購買意欲を高められなかったり、そもそも見てもらえなかったり、期待通りの集客効果を発揮できない可能性が高まります。
コンテンツ内容が自己満足になっている
コンテンツマーケティングのよくある失敗例の2つ目は “コンテンツ内容が自己満足になっている” です。
自己満足になっているというのは、自分が書きたいものばかり書いている状態のことを指します。
『ユーザーがどのように感じ、どのように判断するのか』といったユーザー視点が欠けてしまうとひとりよがりなコンテンツになってしまいます。
自分が書きたいものを書いた結果として、それがユーザーが求めるものであれば良いものの、そうならない場合も少なくありません。
釈迦に説法かと思われるかもしれませんが、ユーザー視点を第一にすることを改めて意識しましょう。
コンテンツマーケティングの実践例
コンテンツマーケティングを実践して成功した企業の事例をいくつかご紹介します。
土屋鞄製作所
同社は、高品質な革製品の製造・販売を行う企業です。
マーケター界隈では、写真を使ったFacebookやInstagramのマーケティングに長けているとして、非常に著名な企業です。
特に、製品の魅力が伝わる写真だけを全面に押し出すのではなく、背景や使用しているシーンを強調した投稿が多く、『投稿を見たユーザーが、使用感をイメージできるような配慮』が見られます。
よりリアルに製品の使用シーンをイメージできる写真を投稿することによって、それに共感したユーザーが徐々に製品や土屋鞄製作所というブランド自体に興味を持ちはじめ、何のストレスもなく購入という意思決定に近づいていくというこの仕組みは、正にコンテンツマーケティングの王道な活用方法だと感じます。
気になる方は、土屋鞄製作所の公式インスタグラムもチェックしてみてはいかがでしょうか。
サントリー
同社は言わずと知れた日本を代表する飲料メーカーですが、コンテンツマーケティングを得意としている企業でもあります。
清涼感溢れる南アルプスの天然水のCM等でも有名かと思いますが、実は企業としてのサステナビリティというテーマでも、うまく活用しています。
例えば、サントリー社には『水と生きる』という理念があるのですが、そのメッセージ内容と、理念が生まれた理由を伝える8分半ほどの動画があります。
非常に丁寧に作り込まれており、その動画を閲覧するだけで「サントリー」という企業のことを深く理解できます。
その他にも、水に関する動画がいくつか発信されていて、更に興味をもったユーザーがいつでも閲覧できるようになっています。
「水と生きる」という理念を体現するために、このような動画コンテンツが上手に活用されています。
こちらも、気になる方はサントリーの公式HPをチェックしてみてください。
コンテンツマーケティングを始める前に意識してほしいこと
ここまで、コンテンツマーケティングとは何かということについて解説してきましたが、本章では、「コンテンツマーケティングをやってみようかな」と感じられている方向けに、最初に意識していただきたいことを記載しています。
より詳しい実践方法については、別記事でまとめておりますので、そちらを合わせてご確認ください。
ターゲット設定
コンテンツマーケティングを始める前に意識してほしいことの1つ目は、ターゲット設定です。
まずは、自社商品やサービスを買う可能性が最も高い潜在顧客像(ペルソナ)を定義しましょう。
ユーザーの広告疲れによって、一方的な広告戦略が従来どおりの期待効果を発することができなくなったという話をしたと思います。
彼らが求めることがわからなければコンテンツマーケティングを正しく導入できないですし、時間をかけてコンテンツを作ったものの、何の効果もなかったということはよくあるケースです。
ユーザーが何を求めているのかを徹底的に考え抜くために、自分たちがユーザーの思考をトレースできるほどの具体的なユーザー像を確立させましょう。
カスタマージャーニーマップの活用
ペルソナの設定が完了したら、提供するコンテンツを考えていきます。
この場合に多く活用されるのが、カスタマージャーニーマップというマーケティングツールです。
カスタマージャーニーマップとは、その名の通り顧客が購買に至るまでに、どんなコンテンツに接し、どんな感情を抱くのかを可視化したものです。
具体的なコンテンツマーケティングの実践方法につきましては、カスタマージャーニーマップの記事にて記載しますので、そちらも合わせてご覧ください。
コンテンツマーケティングを実践するときのポイント
最後に、改めてコンテンツマーケティングを実践する上で、念頭においていただきたいことをまとめます。
コンテンツマーケティングでは、常にユーザーが求めるものが何かを考え、それの解決策としてコンテンツを提供することが最も重要です。
そのために『ユーザーがコンテンツに触れた際には、こう感じ、こう動くはずだ』というのを、100%のユーザー目線で考えることを忘れずに実践していきましょう。
また、今すぐの購入見込み客ではなく、潜在顧客をターゲットとしてアプローチしていくことも非常に重要になります。
将来的に自社商品やサービスに興味を持ってもらえる可能性の高そうな人から優先的にアプローチすることは、一見非効率にも見えますが、結果として多くの購入量やファン化につながっていくからです。
コンテンツマーケティングは、使いようによっては大きな武器となります。本記事がコンテンツマーケティングに関する理解を深める一助になりましたら幸いです。