カスタマージャーニーとは?活用するメリットや実践方法を解説!

マーケティング

『顧客視点が重要である』とはよく耳にするものの、どうやったら顧客視点になれるのか?と疑問に感じたことがある方も多いかと思います。

この顧客理解を深める上で、多くの企業で活用されているフレームワークが、カスタマージャーニーです。

カスタマージャーニーを活用すると、顧客の思考・感情・行動についてより精度の高い予測ができるようになり、 その結果として、顧客視点に基づいた商品やサービス・コンテンツの改善・開発が可能になります。

本記事では、カスタマージャーニーの定義やメリット、実践方法について、簡潔に理解できるような内容になっています。それでは早速見ていきましょう。

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知り、購入或いは購入後の利用に至るまでの一連の思考・感情・行動のプロセス(顧客体験)を『旅』になぞらえた考え方そのものを指します。

特に、カスタマージャーニーを図で表したものをカスタマージャーニーマップと言い、新商品・サービスの開発や、既存コンテンツの改善等、多くのプロジェクトでよく活用されます。

『顧客視点』を実現する上で、ユーザーへの直接インタビューも重要な手段の一つですが、潜在・顕在顧客含めて全てのユーザーにアプローチするのは、時間的にも金額的にも、実現可能性の低い方法です。

また、仮に手当り次第のユーザー100名にインタビューしたところで、ニーズの有無や提供コンテンツの有意性などを測ることはできません。

なぜなら、そもそもインタビューをしても意味のないユーザーが多く含まれる可能性が非常に高いからです。

開発した料理鍋の強みが『調理時間の短縮』とした場合に、その鍋について、サッカー部に所属し、実家で暮らす高校生にインタビューしても、そのインタビュー結果が参考になる可能性が極めて低いということと同じです。

そのため、
・商品、サービスを使うユーザーがどんな人なのか
・そのユーザーの欲求は何か
・商品を見聞きしてから購入・利用に至るまでにどのような思考・感情・行動が推測されるのか
をできる限り推測した上で行動に移すことが、顧客視点を実現するための第一歩になります。

また、ユーザーが求めるものを作る上では、営業職や企画職、開発職などの多角的な視点で一緒に議論を進めていく必要があり、その際に議論の共通認識を取る上でカスタマージャーニーやカスタマージャーニーマップは力を発揮します。

それゆえに、今回取り上げたカスタマージャーニー、並びにカスタマージャーニーマップは、いまや多くの企業において非常に重宝されているフレームワークとなっています。

以下で、カスタマージャーニーを用いることで変わることや、メリットについて記載しておりますので順にご覧ください。

カスタマージャーニーを知ることで、何が変わるのか

カスタマージャーニーを知ることで、『顧客が真に求めるものが何か』を突き詰めて考えられるようになります。

なぜなら、顧客が商品やサービスを購入・利用するまでに感じる疑問や迷いといった、意思決定に至るまでの一連の流れを把握しやすくなるからです。

その結果として、
・既存商品・サービスの改善、商品開発の促進
・よりリアルな顧客の購買行動や思考・感情に沿ったマーケティング施策の考案
などの効果も期待することができます。

そして、これらのことは今後ますます重要になると考えられます。

なぜなら、『顧客視点で考え抜かれた商品やコンテンツを作れるかどうか』が、企業としての評価や業績に直結する可能性が高いからです。

主要なメディアがTVや雑誌、新聞等に限られていた時代と比較して、
ユーザーはYoutubeやInstagram、オンラインブログ等、多種多様なメディアから、より多くの情報を享受するようになりました。

彼らは日々パソコンやスマホの画面をスクロールして、膨大な量の情報の中から、自分にとって有益な情報がどれなのかを、無意識に近いスピードで取捨選択しています。

そのような状況下でユーザーの目に留まるかどうかは、『ユーザーにとって、どれほど魅力的に感じる商品やコンテンツを作れるか』によって大きく左右されます。

これらのことから、顧客視点で考え抜くことを体現できるカスタマージャーニーは、マーケターにとっては勿論のこと、企業活動としても非常に重要な考え方であると言えます。

次章ではカスタマージャーニーを活用することのメリットをご紹介します。

カスタマージャーニーを活用することのメリット

顧客理解が深まる

カスタマージャーニーを活用することのメリットの1つ目は、『顧客理解が深まること』です。

これは、売り手目線で考えてしまうという行為を防ぐことにも繋がります。

なぜなら、カスタマージャーニーを考えるということは、顧客体験を顧客視点で考えることに他ならないからです。

また、現代は『顧客視点で考え抜いたコンテンツが提供されているかどうか』が、そのまま企業としての評価に繋がる時代です。

そのため顧客理解が深まることは、企業が競争の激しい現代を生き抜いていく上で、非常に大きなメリットと言えます。

プロジェクトメンバーとも共通認識が取れやすい

カスタマージャーニーを活用することのメリットの2つ目は、『プロジェクトメンバーと共通認識が取れやすいこと』です。

プロジェクトメンバー間で共通認識を持つことができると、状況把握や意思決定のスピードが迅速になります。

改善を含めサービスとして世に出されるまでには、営業や商品開発、店頭スタッフ等、あらゆる部署のメンバーが関係することがほとんどです。

部署をまたいでのコミュニケーションとなると、営業は営業の観点、技術系は技術系の観点といったように、自分たちの立場で主張しがちな傾向があります。

それゆえに、認識齟齬が生まれたり、出てくるアウトプットの質が低かったりといったことが起きてしまい、結果として業績に対して悪影響を及ぼしかねないということもよくあります。

カスタマージャーニーを用い共通認識を持ちながら議論を進めていくことで、よりサービス改善につながる有意義な議論にしていきましょう。

適切なPCDA管理ができる

カスタマージャーニーを活用することのメリットの3つ目は、『適切なPDCA管理ができること』です。

カスタマージャーニーを用いると、『どんな顧客の、どんな課題を、どのように解決するのか』が明確になります。

その上で、各施策におけるKPIと合わせていくことで、定量と定性の両面から要因分析ができるようになるので効果的です。

提供したコンテンツに対して、ユーザーが抱く感情や思考、行動の予測などをし、KPIを見つめなおすことで、より効果的なマーケティング施策を打ち出していけるようになっていきましょう。

ブランド価値の向上に繋がる

カスタマージャーニーを活用することのメリットの4つ目は、『ブランド価値の向上に繋がること』です。

ブランド価値の向上は、継続的なファンの獲得や、より多くの収益に繋がっていくことが期待できます。

なぜなら、カスタマージャーニーは、徹底した顧客視点で顧客体験を考えており、顧客体験を考えて企画されたものをユーザーが使った際にそのサービスに好意を抱くようになるからです。

顧客体験が改善されることで、顧客満足度の向上、その先の企業としての価値向上、ブランド価値の向上につながることも期待されます。

カスタマージャーニーの実践方法

最後に、カスタマージャーニーの実践方法について記載します。

カスタマージャーニーを実践していく上で、カスタマージャーニーマップを作成することが非常に多く見られますので、そちらに沿った内容になっています。

基本的な考え方としては、具体的なユーザー像を定義し、そのユーザーが

①どんな状況なのか
②どんなコンテンツに接するのか

の2軸を基にした表を作成し、それぞれの項目におけるユーザーの感情・思考・行動を推測していくイメージになります。もう少し具体的に説明していきます。

【具体的なユーザー像:ペルソナを設定する】
前提として、カスタマージャーニーに欠かせないのが『ペルソナ』を設定することです。
ペルソナとは、商品やサービスを購入・利用する可能性が最も高い、理想のユーザー像のことです。
これを設定すると、ユーザーが購入に至るまでの感情・思考・行動が推測しやすくなります。

ペルソナの設定において、
・基本情報:性別、年齢、居住地、出身など…etc
・職業別の情報:学生(学部、専攻内容)、社会人(業種、規模)…etc
・生活パターン:起床時間、休日の過ごし方、勤務時間…etc
・趣味、興味:アウトドア、ゲーム…etc
などの項目がよく用いられます。

ここに挙げたのはほんの一例ですので、様々な角度から項目を設定し、具体的なユーザー像をまずは設定してみましょう。

【どんな状況なのか:商品・サービスを購入・利用までに、想定顧客が取るであろう購買行動を時系列に並べる】

次に、想定顧客が自社商品を購入する or 利用するまでのフェーズを細分化していきます。
その際によく活用されるのが、顧客が商品を購入・利用するまでに取る行動を構造化した、『購買行動(モデル)』という考え方です。

購買行動には様々なものがありますが、
その中でも『認知→興味・関心→比較・検討→購入(→利用)』のモデルが最も汎用性が高く、利用しやすいかと思います。

これが設定できたら、最後に自社が提供するコンテンツの軸を作成していきましょう。

【どんなコンテンツに接するのか:各購買行動において、自社とユーザーの接点となる媒体(タッチポイント)を記載する】

最後に、想定顧客の購買行動毎に、自社が接点を持つ媒体(タッチポイント)を記載していきます。

例えば、自社商品やサービスを『認知』する上では、知人からの口コミ、広告やWebメディア、Instagram・Twitter等のSNSがよく挙げられます。
このように、認知〜購入・利用に至るフェーズ毎にタッチポイントを設定していき、軸を完成させましょう。

ここまでできましたら、カスタマージャーニーマップ作成に向けた土台つくりは終了です。

あとは、作成した表を見ながら、各状況下における想定顧客の思考・感情・行動をユーザー目線で埋めていく工程に移り、どんなユーザーが、どんなコンテンツに触れることで、どんな思考・感情・行動になるのかを推測してみましょう。

おわりに

以上がカスタマージャーニーの定義やメリット、簡単な実践方法についての解説になります。

カスタマージャーニーマップの作成時における注意点や、具体的な項目の埋め方等は別記事でまとめていきますので、具体的な実務レベルで活用されたい方は、そちらもぜひご確認ください。